パート主婦や起業女性の働き方一つで変わる家計のアドバイスをしている、札幌のファイナンシャル・プランナーきよねぇです。
主婦が起業する上で知っておくべきことはたくさんありますね。その中でもお金のことは外せない。利益を出し、お金を世の中に回す。すなわち納税。主婦でも一定の利益を得ると、納税義務が課せられます。
しかし、その義務も立派な社会貢献であるという気持ちで望んでいただきたいと、わたくしきよねぇは考えます。
この記事の目次
主婦の起業と税金
起業(開業)をすれば、主婦であろうと個人事業主になりますよ。
開業届を出す出さないは関係なく、貴女の商品・サービスを提供することによって一定の対価(収入)を得続ければそれは、税務上「個人事業主」とみなされます。
会社員、パートの経験がある方は税金について少しは知っているかもしれませんね。しかし、個人事業主は会社員やパートとは、税金の支払い方法や税金の種類も違います。
会社員やパートの場合、勤務先が税金の計算と納税を代行してくれます。たとえ、税金の知識がなくても困ることはありませんでした。
1月1日~12月31日の売り上げによって手元に残る(手元に残す)お金も、税金の知識があるかないかでは、その額は大きく左右されます。一定額を超えれば、自分で確定申告などの手続きをして、期日までに税金を納めます。
何となく趣味で始めた起業。または、貴女の持っている商品・サービスを、しっかりと社会に根ずかせる為に始めた起業。
どちらにしても起業することは個人自営業の社長になること。家計を預かる立場の主婦としても、手元に残す為のお金の知識をしっかり身につけましょう。
では、個人事業主が支払う税金にはどのような種類があるのでしょうか。
個人事業主が支払う税金は主に以下です。
① 所得税
② 住民税
③ 個人事業税
④ 消費税
⑤ 償却資産税
① 主婦の起業で支払う税金(所得税)
所得税は個人事業主だからという訳ではなく、会社員でも、一定額を超えたパート主婦やアルバイトでも対象です。1年間(1/1~12/31)までの一定の所得に対して課せられる税金です。
会社員は給料から源泉徴収税として一旦天引きされ、年末調整でその年の所得税を確定させます。つまり払い過ぎた所得税が戻る(逆も有り)過不足調整を行います。これらは全て会社側がやってくれますので会社員本人は特に何もしなくても良いのです。
しかし、起業によって所得が一定額を超えた(既に個人事業主です)場合は自分で確定申告が必要となります。
翌年の2月16日~3月15日までに税務署に書類を提出します。*還付金がある場合はこの期限に限らない。
納付(支払い)先は税務署。納付期日は3月15日までです。
注意!開業届を提出している、していないに関係なく、一定の収入を得ると所得税の申告が必要と覚えましょう!!
② 主婦の起業で支払う税金(住民税)
住民税も①の所得税同様、個人事業主だからという訳ではなく、会社員でも、一定額を超えたパート主婦とアルバイトでも対象です。
会社員の場合は給料から天引きが基本。たまに天引きされていないケースもありますが原則は天引きです。住民税の天引きは特別徴収と言われるもので、最近ではこの特別徴収を徹底するような動きとなっています。
では、個人事業主の場合はどう支払うのでしょうか。
自分で納付(支払い)することになります。確定申告をすると、その情報がその年の1月1日に住民登録がある市区町村に届きます。確定申告をしていない場合は、市(区町村)税事務所に自分で届出が必要です。
市区町村側で税金額を計算して6月中旬頃、税納通知書が自宅に送られてきます。6月・8月・10月・1月と4期に分けて納付。又は一括での納付も可能です。よって、納付(支払い)先は1月1日に住民登録がある市町村です。
わたくしきよねぇのところにも毎年6月に、住民税の「納税通知書」が届きます。
これ↓
③ 主婦の起業で支払う税金(個人事業税)
個人事業主が支払う税金です。住民税と同じように自分で計算する必要はありません。
確定申告をしていれば、税額が計算されて8月に都道府県事務から納税通知書が送られてきます。8月と11月の2回に分けて納付(支払い)することになります。
個人事業税の税率は業種によって異なるのはご存知でしょうか。3%~5%ですが、ほとんどの業種は5%です。
また、「①所得税」「②住民税」で適用になった基礎控除や青色申告特別控除が適用されませんが、一律290万円の事業主控除の適用があります。つまり、年間の事業所得が290万円以下の場合は、個人事業税を納付せずに済みます。年間の事業所得が290万円以上になれば対象と覚えましょう。
④ 主婦の起業で支払う税金(消費税)
売上が1,000万円を超えてくると対象となります。消費税は「①所得税」同様、翌年の確定申告にて自分で税金を計算しなくてはりません。
「①所得税」と違うのは、消費税の確定申告期限が3月31日と少し期間が長いこと。
*所得税の期限は3月15日まででしたね。
納税も3月31日まで。消費税は滞納が非常に重い税金なのです。
ここ重要です!!
貴女の商品やサービスの価格の消費税分が外税、内税に係わらず、売上が1,000万円を超えれば納付対象です。
*売上が1,000万円を超えた年を含め3年目の消費税から納付。
すなわち、消費税を支払う事業者になったら、しっかりと納税対策をしておく必要があります。
事業のお財布と家計のお財布をしっかり分ける癖が今から必要ですね。
⑤ 主婦の起業で支払う税金(償却資産税)
これは固定資産税のようなものです。
固定資産税は建物や土地など不動産にかかりますが、償却資産は次のモノに対してかかります。次のモノとは、事業用のパソコンといった備品や机、機械、工具、器具、車両などが対象となります。
自動車は別途、自動車税対象なので償却資産の対象外です。
毎年1月31日までに申告書を市税事務所や市役所などに提出することになります。
主婦の起業で知っておきたい税金計算方法の基本
個人事業主が支払う税金を大まかに説明しましたが、一番大切なのは所得税です。
所得税が全ての大元になっていますので所得税を減らせば自ずとほかの税金も減ります。税金を減らしたいのであれば所得税を減らすことを考える(経費を調整)必要がありますので計算方法を知っておくと役立ちます。
では次に、所得税、住民税、消費税の計算を簡単に説明しますね。
主婦の起業で支払う税金(所得税と住民税)の計算
所得税も住民税も計算方法は基本的に同じです。売上から仕入れと経費を引いた利益をもとに計算します。
1. 売上から仕入れと経費を引いて利益を出す。
2. 利益から所得控除を引いて所得を計算。
3. 所得に税率をかけて税金を計算する。
以上の流れになります。
■所得税
所得税は累進課税方式で所得金額が高くなればなるほど税率も高くなります。その税率は5%~45%と幅があります。*平成25年から49年までは、所得税と復興特別所得税(その年分の基礎所得税額の2.1%)が併せてかかります。
■住民税
住民税には均等割と所得割があります。均等割額は、各自治体によって異なりますが所得があった人全員で負担します。
所得割は一律10%で変わりません。
所得が多い人は所得税と住民税だけでで50%を超えた税金を納付(支払う)ことになります。約半分を税金で持っていかれるなんて話を聞いたことがあるのではないでしょうか。
注意!所得税の金額が変わることがあれば(申告漏れなどを追徴税額となった場合など)住民税も変わると覚えましょう!!
主婦の起業で支払う税金(消費税)の計算
消費税は、独自に売上・経費になるものが定められているので注意が必要です。
【売上で預かった消費税】ー【仕入れなどで支払った消費税】=【納付する消費税】
たとえば・・・(消費税8%では)
・売上が1000円なら消費税は80円もらう。
・仕入れが500円なら消費税は40円払う。
・80円-40円=40円。
・よって40円を国に消費税として支払うことになります。
消費税は売上だけでなく仕入れや経費で支払った分を差し引いて計算します。
仕入れてみたけど全然売れないから値引きして売るといったケースは良くあります。売上よりも仕入れや経費の方が多ければ還付(戻る)になります。
たとえば・・・(同様に消費税8%では)
・売上が400円なら消費税は32円もらう。
・仕入れが500円なら消費税は40円払う。
・32円-40円=-8円。
・この場合は8円が国から還付(戻る)されます。
事業のお財布と家計のお財布をしっかり分ける癖が今から必要なのは以上の理由から。消費税の納税は3月31日まででしたね。消費税は滞納が非常に重い税金ですよ。
主婦の起業で知っておきたい税金のまとめ
繰り返しの説明になりますが、起業をすれば、主婦であろうと個人事業主になります。
開業届を出す出さないは関係なく、貴女の商品・サービスを提供することによって一定の対価(収入)を得れば税法上は個人事業主です。どんな税金をどうやって納める(支払う)のか基本を知っておくことは大切なことですね。
「ご主人の扶養内での起業だから・・・」と言って税金は関係ない話として済ませますか。
でもね、貴女のお客様は、税金を支払ったあとのお金で貴女の商品やサービスにお金を払ってくれていると思うのです。
その大切なお金を受け取り世の中に回してこそ起業家であると、ファイナンシャル・プランナーきよねぇは思うのです。
主婦が起業すると税金によって家計はどうなる
主婦が起業する上で知っておくべきことのひとつ「税金」の種類については、理解いただけましたか。
実は、税金の他に知ってほしいことがあります。
夫の税負担増と妻自身の社会保険(健康保険・年金)への加入です。
サラリーマンの夫に扶養されているのであれば、税金面、健康保険、年金の点で夫の負担を軽くし、専業主婦の妻が困らない様にする優遇措置があります。
しかし、主婦の起業の場合、仕入れと経費を差し引いた妻の所得が一定以上になれば、ご主人の配偶者控除が適用外に。→平成30年より配偶者特別控除へと枠が広がりました。
「配偶者特別控除」の枠を超えると夫の税負担増=給与減になります。
さらに、それ以上に家計(世帯総収入)に影響を与えるのは、妻の社会保険、年金への加入です。ご主人の勤務先加入健康保険組合によって規定も様々です。妻が起業した時点で夫の健康保険被扶養者として認めない会社もありますから、ちゃんと調べましょう。
130万円以上の売り上げ見込みがあるのであれば、自発的に扶養から外れて、国民健康保険と国民年金に加入する準備を始めた方がいいですね。
130万円ルール(130万円の壁)と言われている、それです。
国民健康保険料と国民年金保険料については別記事で確認ください。
どうでしょうか。起業によって主婦が収入を得ることで、様々な義務が課せられる。家計にも影響がでます。
税金や社会保険について、ご理解いただけましたか。基準、ルール(法規)についてはとても細かいのですが、ここまではざっくりとイメージがつけば大丈夫です。
主婦が起業する上で知っておくべきことはたくさんありますね。その中でもお金のことは外せない。利益を出し、お金を世の中に回す。
貴女の商品・サービスで、お客様が喜び、お客様の感謝の対価が貴女のところへお金として回ってくる。また次の世代へそのお金を回す。循環ですね。
お金は社会の血液とも言います。循環を止めない様に致しましょう。
主婦が起業する上で知っておかなければならない「お金、税金、社会保障制度」の講座や個別勉強会を開催していますよ。お気軽にご利用ください。
【主婦のパートと起業・講座のご案内】
20年間の金融業界の知識と中小企業の節税対策に携わった経験を活かし、ファイナンシャル・プランナーとして幅広いお金の知識を小学生にもわかる言葉と説明で講座や個別勉強会をさせていただいています。
きよねぇは完全フリーのファイナンシャル・プランナーですので、金融商品の販売はしていません。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
熊野聖己(きよねぇ)